2010/09/23

学校空間、とりわけ体育館について

こんにちは。
横浜市芸術文化教育プラットフォームの小川智紀です。

私も、学校とアーティストサイドとの調整を行うのですが、
毎度毎度焦点になるのは、場所の問題です。
学校での活動、ことに身体を動かすプログラムの場合は、
活動をする空間が重要になります。いろんな場所の可能性があります。
音楽室、図書ルーム、多目的室、普通教室、図工室、体育館、格技場…。

学校での基本的な活動する空間をイメージした場合、
先生方は、収容人員の問題から考える場合が多いのです。
クラスの人数が40人に近い場合、しかも身体を動かす場合は、
「視聴覚室じゃ狭いですよね、じゃあ体育館を押さえましょうか」
という流れになったりします。ましてや複数クラスの取組みはなおさら。

その一方でアーティストは、子供たちの意識が拡散せず、
集中できる空間を求める傾向があるような気がしています。
「伝える」「伝わる」という基本的な事柄の背景に、
場の環境とか、背景が深く影響しているから、という
それぞれの経験に即した実感があるからじゃないでしょうか。

もちろん、これはコーディネーターによって考え方が違います。
少しでも多くの子どもたちに活動に加わって欲しい、という
コーディネーターのは、体育館の中での「巻き込み」に知恵を絞ります。
その一方で、狭くても構わないから、音楽室での濃密な体験を!
と旗幟鮮明なコーディネーターもいます。

学校の芸術鑑賞教室などを行ってきた世の中の芸術団体は、
相当な努力の末、体育館サイズのコンテンツを進化させました。
でも、それだけが芸術のかたちではない、ということはいえるはず。
学校空間の中でアートの現場を作ることの原点には、空間の問題がある。
比較的折衷点が見つかりやすいので、この辺のことが、
どんなレベルでも議論になることはないのですが…。ちょっと不思議。

2010/09/15

韓国文化教育振興院の視察

こんにちは。
横浜市芸術文化教育プラットフォームの小川智紀です。

先週、韓国の視察団の皆さんが、視察に見えました。
この企画は、「文化芸術教育で地域が変わる」というテーマだそうで、
韓国の文化教育振興院と言論振興財団が主催。
比較的若い世代の新聞記者の方など、総勢15人が見えました。

PFについて簡単にご説明をしたあとは、覚悟をしていたものの、
やっぱり質問攻めになりました。
「PF事業が始まったきっかけは何なのか」
「コーディネーターやアーティストの選定方法はどうなってるか」
「横浜市の創造都市事業とは、どのように関係しているのか」など。
ホント、息つく暇もない二時間でした。

ちなみに、韓国文化教育振興院のウェブサイトは、こちら。
英語名は、KOREA ARTS & EDUCATION SERVICE 略してARTE。
http://www.arte.or.kr/index.jsp
実は、韓国文化教育振興院からは、昨年度も視察に来てもらってます。

そのときに感じたことは「文化芸術教育」といったときの、
「文化芸術」「教育」それぞれの範囲の違い。
彼らのいう「文化芸術」の中には、日本語のアートに収まるか微妙な
生活文化やコミュニティアートが、きっと当たり前のように入っている。
また「教育」といえば、学校教育の話がメインになりがちな日本と違い
「社会教育」の中で問題を考えるのが当然、というニュアンスでした。

「2010ユネスコ世界文化芸術教育大会」をやっちゃう勢いがある、韓国。
http://www.artsedu2010.kr/index.jsp
実際の現場はどうなっているのでしょうか。いつか遊びに行きたいものだ。

2010/09/09

横浜市中期計画のパブリック・コメント

横浜市芸術文化教育プラットフォーム事務局の小川智紀です。
毎回カタイ内容ばかりで恐縮です。今回もがちがちです。
どうぞ、歯を食いしばってお読みください。

横浜市役所は「横浜市 中期4か年計画」2010~2013
~市民と歩む「共感と信頼」の市政~(素案)」を発表しました。
簡単にいえば、何年かに一度役所が作る「中期計画」の上に、
予算が乗り、事業が乗っていくという流れが待っています。
紙幅の制約の中で、何が書いてあるかは大事といえば大事です。

本プラットフォーム事業は、どのような書きぶりでしょうか。
基本政策の「施策4」の「未来を担う子どもたちを育成する
きめ細かな教育の推進」の「目標達成に向けた主な事業」の、
「子どもを対象にした文化芸術・スポーツ振興」が、ソレです。
下記ファイルの9ページ(ノンブルで58-59ページ)をご参照ください。
http://www.city.yokohama.jp/me/keiei/seisaku/newplan/pdf/soan/e0902-5.pdf

事業の説明としては「学校で、プロの演奏や楽器にふれることが
できる芸術文化教育プログラムを実施するとともに、研修を受けた
地域のスポーツ指導者を学校等へ派遣し、子どもがスポーツに
親しむ機会を提供します」と記述。想定事業量と事業費も書かれてます。

スポーツ関連は私の把捉が甘いんですが、このPF事業については
横浜市が今後も取組みを続けていくという姿勢が、確認できそうです。
ご意見は、ぜひパブリック・コメントで(2010年10月5日〆切)。
http://www.city.yokohama.jp/me/keiei/seisaku/newplan/soan.html#iken

ちなみに、いわゆる《文化芸術》は「横浜版成長戦略」の中の
「戦略2・観光・創造都市戦略」に位置づけられており、
「施策25・文化芸術による魅力・活力の創出」に施策が書かれてます。
個人的には、こちらはこちらで味わい深い内容でした。

2010/09/02

「コミュニケーション教育」の連携と普及

横浜市芸術文化教育プラットフォーム事務局の小川智紀です。

8月23日に出かけた文部科学省「コミュニケーション教育推進会議」の
ワーキンググループのことを少し記録しておきます。

文部科学省では「児童生徒のコミュニケーション能力の育成に資する
芸術表現体験」を本年度から立ち上げています。一言でいえば、
芸術家が学校に入り教育活動を展開する、という事業です。
(横浜市内でも、PF事業と連動し、3校で取組みます)

同時に、コミュニケーション教育の趣旨や意義、推進・普及方策などを
議論をする「コミュニケーション教育推進会議」を設立し、
その子会議として、主に教育内容についての議論する教育WG、
主に制度、仕組みについての議論を行う連携・普及WGがあります。

来年度の事業スキームを検討するにあたり、横浜のPFの事例を、
第4回の連携・普及WGで事例報告をしました。
WGは非公開なのですが、雰囲気だけ掴めるのが、以下の資料。

文部科学省:コミュニケーション教育推進会議(第3回)配付資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/075/shiryo/1296107.htm

連携・普及WGでは、横浜のPFが提出した資料などをもとに、
コーディネーターの位置づけや関連機関との連携体制が
焦点になった議論が行われました。

これまで芸術家が学校へ行く取り組みは、さまざまな形態があり、
その「意義」の示し方も多様だったのですが、ここに来て
「コミュニケーション教育」という一点に寄せて、
文部科学省が大きく動いている、という印象を持ちます。
とりあえず、注視したい、と思っています。